相続の手続き(不動産・預貯金等)に関するよくある質問

Q.親が亡くなりました。法律上、いつまでに何をするべき?

A.相続に関する手続きの中には期限があるものもあります。ご注意ください。

・死亡届の提出
死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村へ提出

・相続の放棄、又は限定承認
相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ提出

・準確定申告の手続き(※)
相続開始を知った日の翌日から4か月以内に税務署へ納付

・相続税の申告、納付
死亡の事実を知った日の翌日から10か月以内に税務署へ納付

その他、期限はありませんが相続人の確定、相続財産の確定、遺言書の有無の調査、不動産等の名義変更なども行う必要があります。

Q.相続の手続きの際には何を用意すればいいんでしょうか?

A.相続手続きを始めると、書類の準備が大変ですが、以下簡単にまとめてみますので、ご参考にしてください。

[不動産関係]
・戸籍謄本 (亡くなった方のもの、相続人全員のもの)
・印鑑証明書 (相続人全員)
・法定相続以外の内容で相続する場合、遺産分割協議書または遺言書
・相続する方の住民票

・固定資産評価証明書

[銀行預金関係]
・戸籍謄本 (亡くなった方のもの、相続人全員のもの)
・印鑑証明書 (相続人全員)
・遺産分割協議書 または遺言書
・固定資産評価証明書
・亡くなった方の預金通帳
・銀行所定の書類

Q.筒井司法書士事務所は相続の手続きで何をしてくれますか?

A.相続の手続きのほぼ全般をお引き受け可能です。 具体的には、相続人の調査、戸籍謄本等の書類の取り寄せ、相続登記などです。また、相続人間に相続分をめぐる紛争がなく、全員のご依頼を頂ければ預貯金等の解約から各相続人への分配等の遺産整理業務も承ります。まずは、お気軽にご相談ください。

Q.不動産を複数の相続人名義にしたい。代表者の私だけで名義変更の手続きはできる?

A.不動産を共同相続する場合、相続人の1人だけで登記申請手続きは可能です。
しかし、その場合登記識別情報(権利証に相当するもの)が他の相続人の持分について発行されないこととなってしまいます。
その為、不動産を将来売却する時などに余計な手間と費用がかかることとなります。
そのようなことがないよう、代表者が相続登記を行う場合でも他の相続人の委任状を用意するなど、
全員が手続きに関与する形をとることをお勧めします。
この場合は相続人全員にそれぞれ登記識別情報が発行されることとなります。

Q.必ず遺言書の通りに遺産分割しなければならないんでしょうか?

A.いいえ、相続人全員の合意があれば、遺言書とは別の遺産分割方法をすることが可能です。
遺産は、被相続人(亡くなられた方)が残された財産であり、被相続人の意思表示である遺言書の内容が最大限考慮されるべきですが、残された相続人全員で、遺言書の内容と異なる内容で相続することの合意(遺産分割協議)が整えば、その合意が優先されます。

Q.亡くなった親の遺言書を他の相続人が隠してしまったら?

A.相続人が遺言書を隠したり、捨てたりした場合、その人は相続人となる資格を失います(民法第891条5号)。
また、私用文書毀棄罪として懲役刑が科されます(刑法第259条)。
ただ、隠されてしまったため、どのような遺言の内容だったかわからない、又はそもそも遺言書があったかどうかもはっきりしないようなときは結局、相続人間で遺産分割の話し合いをすべき事になってしまいます。
このようなことを避けるため、万全を期すためには公正証書遺言により遺言書を作成したほうがよいでしょう。この方法では遺言書の控えを公証役場が保管しますので、たとえ誰かが遺言書を隠しても公証役場に確認すればその内容を知ることができます。

Q.妻子も両親も兄弟もいない人が亡くなったら財産はどうなる?

A.相続人になれる人の範囲については民法に規定があります。(民法第887条〜第890条)
それ以外の人が相続人になることはありません。
相続人がいない場合の帰属先は以下のとおりです。

・亡くなった方と生計を同じくしていた人や療養看護をした人、その他特別の縁故があった人が家庭裁判所に請求して決定をうけることにより、相続財産が与えられることになります。(民法第958条の3)
・相続人がいない共有者の1人が亡くなり、上記の特別縁故者も存在しない場合は、他の共有者に帰属します。(民法第255条)
・それでも該当する人が出てこない場合、相続財産は、国に帰属することとなります。(民法第959条)

相続人がいない方は、あらかじめ遺言書で相続財産を誰にどのように渡したいのか決めておいた方がよいでしょう。

Q.相続した不動産を他人に売却した場合、相続手続きを省略して直接買主への名義変更できる?

A.相続不動産を買主へ名義変更する場合、その不動産の売買契約を誰が行ったかにより行うべき手続きは異なってきます。
1.亡くなられた方が生前に契約を締結していた場合
相続人全員と買主が共同で手続きをすることにより、直接亡くなられた方から買主への名義変更手続きを行います。
相続人は不動産を相続したのではなく、「買主への名義変更手続きをする義務」を承継しているためです。生前の契約締結により、所有権は買主へ移転しているため、相続人に名義を変更する余地はありません。
2.相続人が相続が発生した後に契約を締結した場合
一度相続人名義にしたあとに買主への名義変更手続きをします。
相続が発生すると、その時点で亡くなられた方の権利は相続人が承継します。そのあとに契約締結により所有権が移転しているため、亡くなられた方相続人→買主 と、2段階の手続きを踏む必要があります。相続登記を省略することはできません。

(注意)一般的な不動産売買契約書には、所有権移転時期に関する特約として、買主が売買代金の全額を支払った時に売主から買主に所有権が移転する、という規定がおかれています。この場合、亡くなられた方が生前に契約を締結しておられても、売買代金の支払いがなされていない場合、上記2の場合に該当し、相続登記を省略することはできません。

Q.テープやビデオによる遺言は法律上効力ある?一般的な遺言の残し方は?

A.遺言は、法律で定められた様式に従って書面として残さなければならず、テープやビデオによる遺言は認められません。
民法で定められている遺言の中で一般的なものは自筆証書遺言公正証書遺言です。

自筆証書遺言・・遺言者が遺言を自分で作成、自ら保管をする方法です。費用はかかりませんが、様式不備により遺言書が無効となることや、紛失、隠匿のおそれがあります。
公正証書遺言・・公証人が遺言書を作成し、原本の保管も行います。手間や費用がかかりますが、様式不備ということがなく、紛失、隠匿のおそれもありません。

Q.亡くなった親が不動産を持っていた。固定資産税はどうなる?

A.固定資産税の納税義務は相続人に受け継がれます。なお、固定資産税は1月1日に所有者として登記されている人が納めます。
そのため、相続による名義変更手続きを当年中に完了すれば、次年度からは新しい名義人に課税されます。
名義変更が完了するまでは、法定相続人の中から納税通知書を受け取る代表者を役所に届出する必要があります(相続人代表者指定届)。
相続人代表者指定届は、亡くなった方の固定資産税にかかる納税義務者の代表を決めるためのもので、相続権利や相続税の課税とは関係ありません。ご注意ください。

Q.亡くなった親には多額の借金がある。どうしたら良い?

A.借金を相続したくないという場合には、以下の2種類の制度を検討しましょう。
どちらの手続きも、相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所に行わなければなりません。

相続放棄・・・最初から相続人ではなかったこととなり、亡くなった方の財産を一切相続しないという制度
限定承認・・・プラス財産からマイナス財産を差し引き、プラス財産が残っていれば、そのプラス財産だけを相続し、逆にマイナス財産のほうが多ければ、相続をしないという制度(民法第922条)

相続放棄の注意点
一度、相続放棄の手続きをとると、原則撤回はできません。後からマイナス財産を上回る不動産、預貯金等が見つかった場合でもそれらを相続することはできませんので、相続放棄を行う場合、亡くなった方の財産調査は慎重に行ってください。
相続放棄を行っても、死亡保険金は受け取れます。契約時点での受取人指定は相続財産とは無関係ですので、受取人の方が相続放棄をしても支障ありません。ただし、保険金にかかる税金についての非課税の適用(500万円×法定相続人の数)がうけられなくなります。相続放棄を検討するに際し、税金の問題も考慮する必要があります。

限定承認の注意点
・相続人が複数いる場合、共同相続人が全員で行わなければならず、1人でも反対者がいるとできません。
手続きが複雑であり、すべてが完了するまで1年〜数年かかります。
・上記の理由などにより、限定承認が実際に利用されるケースは稀といえます。

Q.養子に行った子供には実親の相続権はある?

A.養子縁組とは、実際の血縁関係とは別に人為的に法的な親子関係を発生させることをいいます。
この関係によって設定された親子関係をそれぞれ養親、養子と呼びます。
この養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組があり、親子関係、相続権など様々な違いが生じます。

普通養子縁組
養親となる者と養子となる者(又はその親権者))の契約により養子縁組を成立させます。
養子は、実親と養親の2組の親をもつこととなり、実親との法律上の親子関係は残されます。
その為、実親と養親の両方の相続権をもちます。

特別養子縁組
家庭裁判所の審判を受けて養子縁組を成立させます。
実親からの虐待や里子など、子の福祉のために養子が実親との親子関係を断ち切り、養子と養親を完全な親子として取り扱います。
その為、養親のみの相続権をもつこととなります。

特別養子縁組の成立のためには以下の条件を満たす必要があります。(民法第817条の3〜817条の7)
・養親となる者は配偶者のある者でなければならない
・原則、養親となる者は夫婦そろって縁組をしなければならない
(夫婦の一方が他方の嫡出子の養親となる場合は除きます)
・原則、25歳に達していないと養親となれない
(養親となる夫婦の一方が25歳に達していて、もう一方が20歳に達している場合は除きます)
・特別養子縁組の成立を家庭裁判所に請求する時点で養子となる者が6歳未満であること
(養子となる者が8歳未満で、6歳に達する前から養親となる者に看護されていた場合は除きます)
・父母の同意があること
(父母が意思を表示できない、又は養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合を除きます)
・子の利益のための特別の必要性があること

Q.不動産所在地が地方なのですが、東京姫路(相続人の居住地)で手続きはできますか?

A.はい、可能です。
相続登記の申請は、その不動産所在地を管轄する法務局へ申請することになりますが、相続する不動産が地方にある場合でも、郵送やインターネットを利用して登記申請ができますので、安心してご利用ください。

Q.相続登記ってしなければならないの?

A.相続登記は義務でもなければ、いつまでにしなければならないという期限はありません。
ただ、実際の所有者と登記簿上の所有者が異なっている状態は好ましくありません。
最も問題となるのが、相続人の方がさらに亡くなった時。
相続人の数が増えるため利害関係が複雑になり、話がまとまらない可能性が高まります。
また、相続人どおしの関係性に変化がおこる可能性もあります。
現状では相続人どおしでスムーズに遺産分割協議が整う関係がこの先も続くとはかぎりません。
将来に不安の残さないためにも、お早めに名義変更の手続きをするべきです。

Q.相続登記の手続きが完了まで、どのくらいかかりますか?

A.相続登記は戸籍謄本の取得に時間がかかります。
また、兄弟が相続人になる場合も、その相続関係を証明する戸籍謄本の通数が多くなります。

亡くなられた方が本籍地を市町村をまたいで複数回移転していたりするケースでは通常よりも戸籍の取り寄せに時間が必要です。
戸籍が全て揃うまで、1週間から1か月ほど、また法務局へ登記申請をしてから審査完了まで10日ほどかかりますので、最低1ヶ月以上かかる場合もございます。

受任の際に、目安期間をお伝えいたします。

Q.相続登記は必ずしなければなりませんか?

A.法的な意味では、義務ではありません。
しかし、遺産分割協議を相続人間の口約束だけで済ませていて、登記をしない間に相続人が亡くなった場合、既存の相続人と新たに加わった相続人との間で、言った言わないの水掛け論になりがちです。

また、口約束した相続人も、年月の経過とともに事情の変化があり、当時の内容で遺産分割協議書に署名押印してくれない、というケースも少なからずございます。
自己の権利保全や後の紛争を防ぐためにも、協議内容は書面化して署名・押印を済ませ、速やかに相続登記をすることをお勧めします。

Q.子供がおらず、兄弟姉妹はいるが妻に全財産相続させたい

A.直系卑属(例:親)と直系尊属(例:子)のどちらもいない場合、相続人は、配偶者と被相続人の兄弟姉妹となります。
兄弟姉妹には相続分が4分の1あります。
しかし、遠くに住んでいて一度も会ったことがない人が相続人になる可能性もあり、違和感を覚える方もいらっしゃいます。
このような場合には、遺言書をあらかじめ作成し、妻に全財産を相続させるといった内容を記載しておけば、妻が全財産相続できます。
兄弟姉妹には遺留分が存在しませんので、遺留分減殺請求をされることもありません。

Q.不動産を売却することになりました。亡父名義のままで相続登記がなされていませんが、そのまま所有権移転登記できますか?

A.できません。登記上の所有者が被相続人のままでは売買による所有権移転登記をすることになります。
売却予定の不動産であれば、相続登記の段階で共有名義ではなく単有名義にしておくと、売却の際の手続きが比較的簡略化することができますが、便宜上の単独名義とする場合、遺産分割協議書の記載内容や相続人間での売却代金の分配方法に注意が必要です。

Q.登記済証(権利証)と登記識別情報の違いはなんですか?

A.登記済証(権利証)は、旧来、売渡証書や登記申請書の写しの後ろの方に法務局の印が押され、そこに受付の年月日と番号が付されたその紙自体を言います。
登記識別情報は地域によって異なりますが、平成17年頃から発行されている登記済証に替わるもので、12桁のランダムな英数字で構成される暗証番号のようなものです。
どちらも次回の登記申請の際に、自己が所有権の名義人であることの証拠資料としての添付書面になりますので大切に保管しなければなりません。

Q.住宅ローンを完済しました。何か必要な手続きはありますか?

A.住宅ローンを完済すると、設定していた抵当権は用をなさなくなるため抹消することになります。
抵当権の抹消は義務ではありませんが、放置しておくと抹消の手続きが煩雑になり、その際の費用がかさむ場合があります。
費用的にも、住所変更なしの一般的な抹消登記の場合、実費と当事務所の報酬の合計でも比較的低価格です。
完済されたらすぐに抹消登記をすることをお勧めします。

Q.住所変更の登記はどのような時に必要ですか?

A.一番多いのは、不動産を売却するときと、担保権を設定したり抹消したりするときです。
登記簿上の住所と現在の住所が異なるとき、法務局(登記の申請を受けるところ)ではその人が、本当に本人に間違いないか判断できません。
本人の同一性の確認は氏名・住所で行うため、登記簿上の住所を変更し、売主や担保権設定者本人であることを確認してから所有権移転登記や担保権設定登記をすることになります。
また、住宅ローンを完済して抵当権を抹消する時も、登記簿上の住所と現在の住所が異なっていれば、住所変更の登記をしてから抵当権の抹消登記をすることになります。

Q.生前贈与と遺言による相続どちらが良いですか?

A.一概に、どちらが良いかは言えません。
また、生前贈与の場合には贈与税、遺言による相続では相続税が発生し、税率が異なります。
また登記の際に登録免許税がかかりますが、贈与では税率が固定資産の評価額の2%です。これに対して相続なら0.4%です。
遺言による場合、相続が発生してからの登記なので、いつ移転できるかは不明確ですし、遺言してから亡くなるまでの間に事情の変更等が起こる可能性や、他の相続人の遺留分も考慮したほうが良いケースもあります。
多少税金がかかってもすぐに特定の方に財産を移転しておきたいのならば生前贈与が確実でしょうし、急ぐ必要がないのならば遺言による相続でも良いでしょう。

住宅ローンの完済に関するよくある質問

Q.住宅ローンを完済しましたが、自宅の抵当権はどうなるのでしょうか?

A.実体的には抵当権は消滅します。
ご自宅に設定された抵当権は、住宅ローン債権を担保するために金融機間等が設定したものなので、ローンを完済すれば実体的には抵当権は消滅してしまいます。
しかし、法務局(登記官)が職権で抵当権を抹消してくれるわけではありません。不動産の所有者と銀行等の抵当権者が共同で抵当権抹消登記の手続きをしなければ、建物の滅失や土地の水没などで、不動産が物理的に消滅してしまわない限りそのまま登記簿上永久に抵当権は存続し続けます。

Q.抵当権の抹消登記をしないで放置しておくと、何か問題がありますか?

A.まずありえないと考えられますが、別の不利益が生じる可能性があります

1.まず、抵当権の設定登記が残ったままでは、ご自宅の売却や金融機関からの(形式的な担保余力を超えた)新規借入がほぼ不可能になることです。
2.また、ローンを完済した際に金融機関から交付される書類の中には抵当権の抹消登記の際の添付書面として必要な書類があり、万一、紛失した場合に事務手数料を支払えば金融機関で再発行することが可能である書類と、登記識別情報(登記済証)のように再発行ができない書類があります。再発行できない書類であっても紛失の際の手続きが不動産登記法において定められていますので、抹消登記をすることは可能ですが、いずれにしても金融機関にその旨も含めた対応を依頼する必要があり、余計な労力と費用を要することになる可能性が高いです。
3.更に、昨今金融機関の再編が著しいですが、金融機関の合併・分割などがあった場合は、抹消登記とは別の手続きが必要となるからです。
この場合、合併・分割登記などの費用は金融機関が負担してくれるとしても時間や労力は自己負担です。また金融機関の代表者が交代した場合も新たに書類を入手する必要が生じる場合も有ります。

普段ご自宅の登記簿をご覧になる方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、ローン完済後、抵当権抹消登記手続きをせずに何十年も抵当権を放置しておくと場合によっては当の金融機関が消滅していたりすると抵当権抹消登記手続きのほかに非常に面倒な手続きが必要になる場合があり、その場合予想外の費用がかかる可能性も否定できません。この場合の費用は原則として全額不動産所有者のご負担になります。
ですから金融機関から、抹消登記書類が交付されたら速やかに抵当権の抹消登記手続きを行っておくことをお勧めします。

Q.その場合司法書士に依頼するメリットは何ですか?

A.司法書士に依頼すれば、時間と労力を大幅に節約できます。
司法書士に抵当権抹消登記手続きを依頼しますと勿論、相応の費用がかかります。
また銀行の合併など専門的知識を必要とする場合も司法書士が対処します。
確かに法務局では抵当権抹消登記手続きなど、登記全般の相談を行っておりますが、単純に数えて登記相談、抵当権の抹消登記申請、登記完了後の受領の3度もご自宅から法務局まで往復する移動時間や交通費だけでも結構な労力、出費ですし、何より、法務局は平日の日中しか開庁しておりません。お仕事をされている方はお休みをとられて何度も登記相談に出向いたり、抹消登記申請に不備があって法務局から補正(訂正)の呼出がある場合、4度も5度も往復することます。そのような事は不可能な方が大半ではないでしょうか。司法書士にご依頼いただくとこの手間と費用を省くことができ、一般的な住宅ローンの抹消登記であれば費用は実費と報酬合わせて2万円弱です。

遺言書の作成に関するよくある質問

Q.自筆証書遺言と公正証書遺言どちらがよいのですか?

A.一概に言えませんが、当事務所では、公正証書遺言を中心にサポートしております。
公正証書遺言は、形式不備により無効になることがなく、原本は公証役場で半永久的に保管されているので、偽造や紛失の心配が無く安心です。また、当職はもちろんのこと、公証人による遺言者の意思確認や証人立会いなど、後日になって、当時、遺言者が正常な意思能力(物事を正確に理解把握し、自分で判断する能力のこと。意思能力が無い方の遺言は無効となります。)を有していたのかどうか、という相続人間での遺言書の有効性に関する争いをほぼ回避することができます。

Q.作成後にあとで変更は可能ですか?

A.はい、可能です。後で気持ちが変わって、内容を変更したり、取り消したいと思うこともあると思います。

また、相続人との関係に変化が起こることもあるでしょう。
一度遺言したからといって、最後までそのようにしなければならないわけではなく、気持ちや事情が変われば、遺言はいつでも変更、取り消しをすることができます。

Q.遺言は何回でも作成できますか?

A.何回でも作成可能です。
自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の中で効果の優劣はありません。
一番最後に作成されたものが有効な遺言となります(古い遺言は最新の遺言に抵触しない範囲で有効です)。
複数回作った場合は、紛らわしくならないように以前に作った遺言を破棄すべきです。

Q.作成した遺言書はどのように保管すればいいでしょうか?

A.公正証書遺言書の原本は公証人役場に保管されますので、この場合には保管について心配する必要はありません。
しかし、自筆証書遺言の場合は遺言者自身で保管しなければいけません。方法としては、遺族がすぐにわかる場所にしまっておく、遺言執行者や信頼できる人に預けておくなどです。

Q.自筆証書遺言をワープロで作成しても有効ですか?

A.残念ながら無効です。
自筆証書遺言は「全文を自筆」で書かなければなりません。
ワープロや録画による遺言は偽造・編集されてしまう恐れがあるため、認められません。

Q.相続人以外の人に全財産あげるという遺言は有効ですか?

A.有効です。遺言の中で相続人には相続させずに他の人(第三者といいます)に全財産をあげることは可能です。
しかし、その場合でも相続人(兄弟姉妹を除く)には遺留分と言う、遺言でもってしても排除することのできない権利があります。
遺留分の主張がされますと、原則として、3分の1から2分の1は相続人のものになります。

Q.自筆証書遺言で日付を「平成〇〇年〇月吉日」とできますか?

A.できません遺言の作成日付は明確に書かなければなりません。
そのため、平成〇〇年〇〇月〇〇日としっかり特定して書きましょう。

Q.遺言書もなく、遺産分割協議も合意できません。どうしたらいいですか?

A.遺産分割協議がまとまらない場合や、協議に応じない相続人がいる場合、家庭裁判所の遺産分割調停を利用することになります。
ただし、調停を開いてもまとまる保証はありません。相続で争いになる原因として、相続財産の分割の仕方であることもありますが、一番多いのは相続人どうしの感情の問題です。
「相続」が「争続」とならないよう、普段から相続人どうしの仲が悪い、もしくは疎遠であると言った場合には、予め遺言を作成し後の紛争を予防しましょう。

成年後見制度に関するよくある質問

Q.成年後見制度とは何ですか?

A.成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などで物事の判断能力が低下している人を法的に援助する人を家庭裁判所に選んでもらう制度です。
未成年者にとっての親権者を家庭裁判所に選んでもらうイメージが近いといえます。
これにより自分一人では困難な不動産や預貯金等の財産の管理や各種契約が安全に行えるようになります。

Q.成年後見制度にはどのようなものがあるのですか?

A.成年後見制度は大きく分けて法定後見と任意後見に分けられます。
法定後見では本人の判断能力の程度やその他の事情によって後見・保佐・補助の3つに分けられます。

単に「成年後見制度」というと法定後見制度を意味することが多いのではないでしょうか。

Q.司法書士は成年後見で何をしてくれますか?

A.成年後見制度は、精神上の障害や、認知症などで判断能力が十分でない方が不利益を被らないようにする制度です。
司法書士は、後見開始の申立ての書類作成だけでなく、後見人に就任し依頼者をサポートします。
本人を代理しての法律行為や、不利益な法律行為の取り消しなどを行ったりすることによって、本人の財産の保護・本人の契約行為などを支援いたします。

Q.申立ては自分でできますか?

A.成年後見制度の申立ては、本人・配偶者・4親等内の親族がすることができます。
必ずしも弁護士や司法書士等の専門家に頼まなくてもできないことはありません。
ただし、どの手続きを選択し、各手続きが開始するとどのような違いがあるのかなど判断の難しい面もありますので、一度は専門家に相談してみるのがよいと思います。

Q.軽度の認知症ですが、後見制度を利用できますか?

A.後見制度は、判断能力の程度に応じて、後見・補佐・補助があります。どの類型に該当するかは、主治医の判断なども必要です。
主治医が記入する診断書には、判断能力判定について意見を記載する項目があります。以下をご参考にしてください。

後見 ⇒ 自己の財産を管理・処分ことができない
保佐 ⇒ 自己の財産を管理・処分するには、常に援助が必要である
補助 ⇒ 自己の財産を管理・処分するには、援助が必要な場合がある

診断書を元に、家庭裁判所に申立てすることになります。いずれに該当するかが微妙な場合は、家庭裁判所による鑑定手続きを経て、最終的には家庭裁判所が判断します。「後見」開始の申し立て手続きの過程において「保佐」や「補助」開始の申立てに移行し、審判がなされる、という場合もあります。

Q.浪費癖がひどいという理由で成年後見制度を利用できますか?

A.単なる浪費癖では、成年後見制度は利用できません。
ただし、浪費癖が、何らかの精神的な障害(認知症、知的障害等)が影響している場合には、後見人をつけることは可能です。

Q.財産が少ないのですが、後見制度を利用できるのですか?

A.成年後見制度は財産が多いか少ないかに関わらず、判断能力が低下してしまった方には誰でも必要となりうる精度です。
財産の多い少ないは、成年後見制度を利用するうえで影響はありません。

Q.任意後見制度とはどういうものですか?

A.法定後見制度は、現在既に判断能力がない、また、衰えた方を支援する制度です。
後見人は家庭裁判所が決定し、支援する内容は法律で定められています。
一方、任意後見制度は、将来ご本人の判断能力が低下したときのために、ライフプランを立てておき、実行する後見人をあらかじめ定めておく制度です。 支援する内容も、任意後見制度は柔軟に定めることができます。

Q.任意後見において、成年後見人はどのようなことをするのですか?

A.任意後見制度は本人がまだ判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分になった時のことを考えてあらかじめ代理人(任意後見人)を選んでおいて、自分の療養看護や財産管理について代理権を与える契約を結びます。
そして、本人の判断能力が低下した際に任意後見人は家庭裁判所が選んだ任意後見監督人のチェックのもと、本人に代わって財産を管理したり契約を締結したりして本人を支援します。

本人に後見が開始した後に、後見人がする職務は法定後見・任意後見に違いはありません。

その他不動産の登記(売買等)に関するよくある質問

Q.権利証が発行されなくなったと聞きました。どういうことでしょうか?

A.従来は、マンションや土地などを取得した場合、法務局より登記済証(権利証)が発行・交付され、後日その不動産を売却したり、担保に入れる時にはその登記済証を法務局に提出する必要がありました。
しかし現在は不動産を取得した場合、登記済証(権利証)ではなく「登記識別情報」というものが発行されます。(ただし、現在お手元にある登記済証は有効なままで、後日の売却等に際して使用できます。)
登記識別情報とは、法務局が無作為に選んだ12桁の英数字によるパスワードのことで、売却したり担保に入れる時には、そのパスワードを法務局に提出することとなります。
登記識別情報通知(紙)がお手元にある場合でも、パスワードの情報を他人に見られただけで、権利証の盗難と同じく不正な登記申請がされてしまうリスクが生じます。
以上のことより、登記識別情報は、従来の権利証よりもさらに厳重な管理が必要となります。

Q.登記手続きは必ず行わないといけない?

A.建物を新築したり、土地の地目を変更(田から宅地など)した場合など、物理的現況について変更が生じたら表題登記手続きを行わなければなりません。
しかし、不動産を売買した場合の名義変更や、債権の担保として抵当権を取得した場合の抵当権設定などについては登記をしなければならない、という法律上の義務はありません。ただし、「自分がその不動産の所有者である」「自分がその不動産に抵当権をつけている」などの主張を第三者にするためには、登記をしておかなければなりません。これを対抗力といいます。
将来の不利益を回避するためにも、不動産の権利関係に変更が生じたらその都度登記手続きをしておきましょう。

Q.土地の売却・相続などの際に権利証を紛失している場合は?

A.不動産を売却する場合や、融資を受けるために担保として不動産を提供する場合など、権利証(登記識別情報)を使用して登記申請を行う場面で権利証等の紛失に気が付く場合があります。
このような時、残念ながら権利証を再発行することはできません。
そのため次の方法により登記申請を行います。
なお、旧不動産登記法で定められていた「保証書」による登記申請方法は、現行法では認められていません。

1.事前通知制度を利用する方法
事前通知制度とは登記申請がなされた法務局より登記義務者(権利証等を紛失した人)に対して本人のみが受け取れる郵便書類(本人限定受取郵便)が送付され、その書類に本人の実印を押印して一定期間内に法務局に郵送又は持参すれば登記手続が進行し登記が完了するものです。
2.司法書士等による本人確認情報を登記申請に添付する方法
本人確認情報とは司法書士等が運転免許証等により本人を確認した旨の書類です。
この書類を申請書に添付すれば、上記の事前通知を省略して登記手続を行うことができます。

権利証がない場合でも、上記方法を用いることにより登記手続きは可能となります。
なお、別途費用(案件により異なります。)が発生します。

上記の2つの方法のうち、どちらを選択すべきかは個別案件によって違いますので、詳しくはお気軽にお問い合わせください。

Q.不動産を持っています。住所が変わったら何か手続きをする?

A.登記簿に記載されている所有者の住所は、市役所等に転居届を出しても自動的に変更されるわけではありませんのでご注意ください。
ご自身、又は代理人が法務局へご住所が変更になった旨の登記を申請する必要があります。

この住所変更登記は、将来、その不動産を売却等する際に、前提として行わなければならない手続きとなります。

また、住所を複数回移転されている、市区町村をまたいでの住所移転をされた等のばあいで、住民票等の保存期間の満了により、ご自身の住所移転の履歴を証明することができない、というケースがあります。

そのような際にもお気軽にご相談ください。

Q.住宅ローンを完済したら、銀行から書類が送られてきた。どうすればいい?

A.登記簿上の担保権は、住宅ローンを完済しても自動抹消されるわけではありません。
金融機関から送られてきた書類一式を用いて担保権の抹消登記手続を行わなければ、登記されたままです。
詳しくは「住宅ローンの完済」をご覧ください。

Q.不動産の登記簿謄本は不動産の名義人以外でも取得できる?

A.誰がその土地の所有者なのか、など不動産に関する権利については戸籍等とは違い、公示を目的として一般に公開されているので、お近くの法務局で交付請求書に必要事項を記載して提出すれば誰でも登記簿謄本(登記事項証明書)の交付を受けることができます。
身分の証明や委任状、印鑑などは必要ありません。
取得に際し、所定の手数料を収入印紙にて支払う必要があります。主な手続きの手数料は こちら(法務局HPより)をご覧ください。
なお、交付を請求するにあたり、土地なら地番、建物なら家屋番号を事前に調べておきましょう。
その不動産の権利証や納税通知書、又は法務局に備えてある地図(ブルーマップ)などで調べることができます。
地番や家屋番号は、いわゆる住所(住居表示)とは違うことがありますのでご注意ください。

Q.マイホームを夫婦共同で買いました。持分の割合はどうすればいい?

A.マイホームの購入資金を共同で出した場合は、その出資した金額の割合に応じて、持分の割合が決まります。
その際は各人が銀行などの借入れも含めてどれだけの金額を負担したかを計算し、決定します。
例えば、夫が拠出した金額3000万円、妻が拠出した金額2000万円の場合は夫の持分5分の3、妻の持分5分の2となります。
もし出資した金額と異なる持分割合にした場合、出資金額の割合に比べて多く取得した人は贈与を受けたものとみなされることがありますのでご注意ください。(贈与税がかかる可能性があります)
なお、誤った持分割合で登記をした場合、後日正しい持分割合に登記を直すことはできますが、別途費用がかかってしまいます。
そのようなことのないよう、購入の段階で正しい持分割合での登記をしておきましょう。

Q.事務所に行かないと、依頼できないの?

A.お客様のご本人様確認・意思確認のため、原則として事務所にご来所いただいてのお手続きとなります。
遠方でどうしてもご来所いただけない場合には、本人限定受取郵便などを用いて確認をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

会社の登記に関するよくある質問

Q.役員の任期を延長できると聞いたんですが?

A.原則として取締役の任期は2年、監査役の任期は4年ですが、株式の譲渡について制限を設ける会社(株式譲渡制限会社)においては、最長で10年まで任期を伸張することができます。

役員の任期を伸張するためには、定款にその任期を定めなければなりませんので、株主総会において定款を変更する決議が必要となります。
また、役員の任期は登記事項ではありませんので、任期を延長したとしても登記は必要ありません。

なお、役員の任期を伸長するうえでの注意事項として、役員を任期途中で解任した場合に、その役員に解任される法律上の正当な事由がない場合は、役員としての残存期間分の役員報酬を損害賠償として請求される可能性がありますので、任期の伸長は慎重に検討する必要があります。

Q.役員1名だけで株式会社を設立できますか?

A.改正前の商法では、株式会社には必ず取締役が3名以上、監査役が1名以上必要であったため、親御さんや親せきの方に名前だけ役員に入っていただく、というケースもあったようです。
しかし、現行の会社法の規定では、様々な会社の規模に合わせて役員等の期間設計を比較的自由に設定することが可能です。
最小限、ご自身1名のみが取締役となり株式会社を設立することが可能です。

Q.株式会社の取締役を1名にしたい。どうすればいいでしょうか?

A.前述のとおり、従来、株式会社には取締役3名以上、監査役1名以上が必要でした。
ですが、平成18年に施行された会社法では、「株式の譲渡制限に関する規定」のある株式会社においては、役員を取締役1名のみとすることができるようになりました。

この場合、株主総会において「取締役会」と「監査役」を廃止する旨の決議をした後、「取締役会設置会社」及び「監査役設置会社」の廃止の登記及び役員の変更に伴う登記を行います。
「監査役設置会社」を廃止すると監査役は任期満了により退任することとなります。
また、取締役については「取締役会設置会社」廃止を条件として辞任するのが一般的です。
そして「株式の譲渡制限に関する規定」についても、株式譲渡の承認機関を取締役会から株主総会や代表取締役などに変更する必要があります。
さらに、代表取締役をどの決議機関が選定するか等、検討を要する場面が出てきます。

以上のように、役員を1名のみとする手続きを行う場合、波及して必要となる手続きが複数出てきます。詳細は専門家等にご相談ください。

Q.役員の変更があった。登記手続きの期間は決まっていますか?

A.役員に変更があった場合や、任期満了で同一人が再任された場合などは、本店所在地において2週間以内に役員変更の登記をしなければなりません。登記期間を経過すると過料の制裁を受けることがありますので注意が必要です。
また、役員の変更以外でも登記事項に変更が生じた場合には、原則、同じ期間内に登記手続きをする必要があります。
なお、支店の登記もしている場合、その支店所在地においても3週間以内に登記をしなければなりません。
ただ、本店所在地で登記をする時には必ず支店所在地においても登記をしなければならないというわけではなく、支店所在地において登記義務があるのは・商号・本店の所在場所・支店(その所在地を管轄する登記所の管轄区域内にあるものに限る)の所在場所に変更があったときのみとなります

Q.就任した役員の登記をする前にその役員が死亡した場合は?

A.役員に選任され、その就任承諾をした場合、たとえそれにもとづく役員変更登記をしないうちにその役員が死亡、辞任などにより退任したとしても、いったん就任登記をして、退任登記をしなければなりません。
商業登記は、会社において発生したことを忠実に登記することを求めています。
役員が就任登記の前に退任したとしても、一時期は役員として存在していたわけですから、その旨の登記をすることとなります。
なお、死亡による役員の退任登記に際しては、死亡診断書、戸籍の謄抄本、死亡通知書などの死亡を証する書面が必要となります。

Q. 会社設立の手続きを、行政書士や税理士にお願いできるのでしょうか?

A.いいえ、できません。
残念ながらインターネット上には「会社設立」を掲げる行政書士・税理士のホームページを多く見かけます。
しかし、行政書士・税理士には会社設立登記の代理をすることは、法律上認められていません。
そのため、登記手続きは提携する司法書士をご紹介します、と明記されているものが多いのですが、中には、定款作成のみ行い、登記申請はご本人の名前を語って申請する行政書士や、会社設立後の顧問契約を結ぶ条件で、設立登記無料をうたう税理士が少なからず存在することも事実です。
どちらも、登記申請においてはご本人の名前を語り、本人の申請を装い申請するという法律違反行為で、実際に摘発事例もあります。
このような場合、万一、申請書や添付書面に不備があった場合、法務局に対応するのもご依頼者が行うことになります。
また、何よりも、違法行為を堂々とホームページに掲げて宣伝する専門家「?」を、信用できるのかどうかは明白であるかと思います。

© Copyright - 筒井司法書士事務所